失恋
いや、失恋はしていませんが、そろそろ、心にけりをつけなくてはいけません。
ツバメくん。
6歳年下の男の子。20代後半になり、少年の中に男らしさが見え隠れする、いよいよまたいい男に。
ツバメくんと共通の友人が、ツバメくん、〇〇ちゃんとお似合いですよね、と耳打ちしてきたのです。
あの二人、付き合っちゃえばいいのにぃ〜。と。
ああ、そりゃあそうですよね。若くて綺麗なあの子と、若くてかっこいいツバメくん、なんかいいよね。
そう思いながら、わたしの心は打ち砕かれました。
私は浮かれていたのです。既婚者だから無理、なのではなく、そもそも彼は、私になんて手の届くはずもない、リア充野郎なのです。
そんな彼に、わたしは未婚だろうがフリーだろうが手を出す資格なんてなかったわけです。「え、いや、あなたはないですよ」と言われるのが関の山。一回だけでもやらせてもらえないか、なんて思った私がバカだったのです。
若くてきれいな女性の部下にうつつを抜かして、実は相手にはセクハラとしか思われていなかった惨めな中年のおじさんの気持ちでしかないわけです。
調子に乗っていただけでした。
忘れないといけません。多くを求めてはいけません。恥の多い人生にもほどがあります。
神様。なぜわたしにはあんなに素敵な旦那さんがいるのに、私に若い男に心を揺さぶられるという試練をお与えになったのですか?
あんなタイプばちこいの男がなぜ私に優しく微笑みかけてくれるのでしょうか?なぜ私の隣に立ってくれるのでしょうか?(私が彼の隣に行くから、なのですけども。)
しかも旦那さんのように、同じようなタイプでありながらなぜあんなにも私と違う世界で生きているのでしょうか?私はあんなに真っ当な男と生きて行けるわけもないのに。
そして何よりも、世界で一番大切な旦那さんと別れる気持ちなんて一ミリもないのに。
この気持ちが誰にもばれないうちに、どうか、私の心よ、そっとこの浮ついた気持ちに蓋をして。何よりもツバメくんに、この勘違いおばさんキモい、と思われていないことを、心から、切に願います。