自由とはなにか
「ここには自由とはなにかが書かれている」
知人からそう勧められたヘルマン・ヘッセの「シッダールタ」を読みました。
- 作者: ヘッセ,高橋健二
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 1959/05/04
- メディア: 文庫
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最初は、ドイツ人(元々はキリスト教徒であろう)著者がなぜ仏教の祖を?
と訝しんで読み進めていたが、宗教の差など意味はない、彼がシッダールタの
悟りに至る道に自らの「宗教体験」(とあとがきには説明されていた)を
重ねあわせたものであり、必ずしも無知な日本人(私)がイメージするような
仏陀像と一致するわけではなかったが、非常に深く、面白く、読後感が良い本。
「生きるとはなにか?」とか「なぜ生きているのか?」ということを
ぼんやりと考えたことがある人は一度読んでみてほしい。
私は今のままでいいんだと、なぜか背中を押されたような、
勇気を与えられたような気がする。
シッダールタは苦行だけではなく、快楽や人並みの苦しみも味わう。
苦行をしても悟りに辿り着かず、壁にぶつかり、
敢えて一般庶民のような暮らしや、豪華な暮らしにトライする。
(豪華な暮らしの描写には、これはキリスト教がベースにある社会に
生きるヘッセだからなのか、感じる金持ちに対する虚無感や哀れみを感じさせた。
ぼんやりとした記憶だが、キリスト教(特にピューリタン)は清貧を是とする
教えだった気がするので…まあ、それは、日本人が持つ、
金持ちはいつか堕落するという思想に相通じるものを感じ、共感できる)
苦行を乗り越えてきた人とは思えない、普通の人のように、
金や遊び、人に翻弄されるシッダールタの姿は、とても魅力的で、
引きこまれ、自分を投影することができた。
シッダールタがそんな日々の中で悟りを開き、その悟りの内容は
非常に難しいのだけど、私は、そこに自由であることと、
自分自身を肯定することを感じることが出来た。
もちろん、本で人生を動かすことは出来ないが、
本は人生に多分な示唆と影響を与えてくれる。
翻訳された本は言い回しが独特で読みづらいが、
心がすかっとする、そんな本なので、おすすめだ。
ちなみに知人はデミアンは愛について書かれていると教えてくれた。
シッダールタでは最後、愛こそがものの本質的なことを言っていたので
↑あんまりピンとこなかった
是非読んでみたいなーと思う。
なかなか愛と性についてが始まらない、
自分勝手なブログです。