ヤンキー化がカバーしているものが広すぎる
斎藤環先生の本を買った。ヤンキー化というのにはヒジュに興味を持っていて、わざわざアマゾンで新刊で買ったので、すごく楽しみにしていた。
が。失敗のお買い物であった…。
まあ、完全に自業自得なんだけど、これ対談本なんだよね。
対談もんって、読んでて確かに楽しいんだけど、中身がすっかすかなことが多い。
この本の中の冒頭は読み応えがあるんだけど(斎藤環的ヤンキーという概念の説明)その後は、色々とヤンキーにまつわる話をしていく。
村上隆とはブラック企業というか、労働について(気合で乗り越えるところがあるという村上さんの事務所の話を通して)
デーブ・スペクターとは日本のヤンキーが嗜好するアメリカ文化(ディズニーとか)の話
日本文化系の学者とは日本文化の中のヤンキー性などなど。
どんどん際限なく話が広がっていく。
村上隆あたりで日本の根性論ってこっから着てるんだ!と膝を打つ思いで読んだが、外国人にもヤンキー気質ってあるんだね〜とスペクターのあたりで思いきや、日本文化論になり始め、ん?ヤンキー日本の特殊性????と、もう際限なく話が広がっていく。
個人の精神分析の話の範疇であれば、様々な分野で考えても。それはあくまでも、ヤンキーと言われる群とか、ある種の問題を抱えた人間性とか、って狭く括った上で話ができるけど…主体も不明瞭、フィールドも広範に及ぶとなると、もう論でもなんでもないじゃん、世間話でしかないじゃん…!という…。
分析にならないんですよ。学問ってある種、物事を分解して、選択肢を狭め、単純化する中で、一つの答えを見出していくことだと思うんだけど、これは全く逆で、あまりにもカバーするものが多すぎて、何も見ていないことと同じになってしまう。
それは何も語っていないのと同じになってしまう。それってさ、人間のDNAなんて、ほかの種に比べればほとんど差がないよ!顔面には、皆目と鼻と口がついてるよ!って言ってるような気がして、うーん…どうとでも言えますよね〜的な。
そんなわけで、読み物としては面白いですけどね。ただ、これ雑誌と同じだと思うので、わざわざ買うことはないかなと思います。自戒を込めて…。
まあ、この本が不発だっただけに、ヤンキー化について語った本は読んでみたいですけどね。↓
- 作者: 斎藤環
- 出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング)
- 発売日: 2012/06/30
- メディア: 単行本
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